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矢立の杉

(やたて すぎ)

笹子峠に立つ樹齢千年の伝説の巨木

矢立の杉は、山梨県大月市と甲州市の境にある笹子峠付近に立つ、樹齢1000年ともいわれる巨大な杉の木です。戦国時代に合戦へ向かう武士たちが、この杉に矢を射立てて戦勝を祈願したという伝説が名前の由来となっています。古くから甲州街道の名所として知られ、多くの旅人や歴史上の人物がこの場所を訪れてきました。現在は山梨県の天然記念物にも指定されており、歴史と自然の両方を感じることができる観光スポットとなっています。

樹齢1000年といわれる巨大な杉

矢立の杉は、樹高約28メートル、根回り約14.8メートル、幹の太さは目の高さの位置で約9メートルもある非常に大きな杉の木です。幹は地上約22メートルのところで折れており、内部は上まで空洞になっています。空洞の直径は約2.3メートルほどもあり、その大きさから長い年月を生きてきた木であることがよくわかります。

過去には風害や火災の影響を受け、幹の内部が炭のようになった部分もありますが、それでもなお現在まで生き続けている生命力の強い木です。県内でも有数のスギの巨樹として知られ、自然の力強さを感じることができます。

戦国時代の武士と矢立の杉

この杉の名前の由来は、戦国時代にあります。笹子峠は甲州街道の最大の難所として知られ、戦国時代には武士たちがこの峠を越えて戦へ向かいました。その際、武士たちはこの杉の木に矢を射って戦勝祈願を行ったと伝えられています。このことから「矢立の杉」と呼ばれるようになりました。

また、源頼朝もこの峠を通った際に矢を射たという言い伝えも残っており、古くから歴史と深い関わりを持つ場所であったことがわかります。

甲州街道の名所として知られた杉

江戸時代になると甲州街道が整備され、多くの旅人がこの峠を通るようになりました。矢立の杉は旅人たちの休憩場所や目印としても親しまれ、古い書物である「甲斐国志」や「甲斐叢記」などにも記録が残されています。

さらに、江戸時代の有名な浮世絵師である葛飾北斎や二代目歌川広重も、この矢立の杉を題材にした絵を描いています。浮世絵に描かれるほど有名な名所であり、当時から多くの人に知られていたことがわかります。現在でも笹子峠の名物である「笹子餅」の包装紙には、この矢立の杉の絵が使われています。

身代わり両面地蔵と歌碑

矢立の杉の近くには、歌手の杉良太郎氏によって寄贈された身代わり両面地蔵菩薩が祀られています。この地蔵菩薩は人々の平和や幸福を見守るといわれ、多くの人が参拝に訪れます。また、矢立の杉を題材にした歌の歌碑や音声ガイドも設置されており、歴史や文化について学ぶこともできます。

毎年行われる例大祭では祈祷も行われ、多くの人が訪れる地域の大切な場所となっています。

笹子峠と矢立の杉

矢立の杉がある笹子峠は、山梨県大月市と甲州市の境にある標高約1,096メートルの峠で、旧甲州街道の最大の難所といわれていました。江戸と信州を結ぶ重要な街道の途中にあり、多くの大名や旅人がこの峠を越えていきました。

現在では旧甲州街道のハイキングコースとして整備されており、自然の中を歩きながら歴史を感じることができます。ハイキングコースの途中に矢立の杉があり、峠歩きの見どころの一つとなっています。

歴史と自然を感じる観光スポット

矢立の杉は、戦国時代の武士、江戸時代の旅人、そして現代の観光客まで、長い歴史の中で多くの人々を見守ってきた杉の巨木です。樹齢1000年ともいわれるその姿は非常に迫力があり、実際に目の前で見ると自然の偉大さを強く感じることができます。

笹子峠周辺は自然も豊かで、ハイキングや歴史散策を楽しむことができる場所です。山梨県大月市を訪れた際には、歴史ある街道とともに、長い年月を生き続けてきた矢立の杉をぜひ訪れてみてください。きっと、歴史と自然の魅力を同時に感じることができるでしょう。

Information

名称
矢立の杉
(やたて すぎ)

勝沼・石和温泉

山梨県