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龍憲セラー

(りゅうけん)

歴史的ワイン貯蔵庫

龍憲セラーは、山梨県甲州市勝沼町下岩崎に位置する煉瓦造りの地下式ワイン貯蔵庫です。 その歴史的価値と魅力から、観光地として注目されています。

概要

龍憲セラーは明治時代に建設された煉瓦造のワイン貯蔵庫です。「葡萄酒貯蔵庫(龍憲セラー)」として国の登録有形文化財に指定されており、 経済産業省の近代化産業遺産「甲州市のワイン醸造関連遺産」の構成資産や、日本遺産「日本ワイン140年史 ~国産ブドウで醸造する和文化の結晶~」の 構成文化財としても認定されています。

設立背景

龍憲セラーは、明治30年代に土屋龍憲が建設したとされていますが、龍憲自身が建設に直接関わったことを示す明確な資料は未発見とされています。 煉瓦は当時の鉄道工事で製造されたものを利用しており、その歴史的背景が多くの人々を魅了しています。

歴史

創設者と背景

1877年(明治10年)、東山梨郡勝沼村に大日本山梨葡萄酒会社が設立されました。その後、ヨーロッパのワイン醸造技術を学ぶため、 土屋龍憲と高野正誠がフランスへ留学しました。帰国後の1879年(明治12年)、2人は日本酒の酒蔵を借りてワイン醸造を開始し、 煉瓦造りの地下式ワインセラーでワインを貯蔵するという新しい技術を導入しました。

建設と煉瓦の特徴

龍憲セラーに使用された煉瓦は、1903年(明治36年)に開通した中央本線工事のために生産されたものと類似しており、 建設年代は1899年(明治32年)頃と推定されています。煉瓦は不揃いで、色やサイズにばらつきがあるため、当時の煉瓦製造技術の限界が伺えます。

文化財登録

1996年(平成8年)には国の登録有形文化財に、2007年(平成19年)には経済産業省の近代化産業遺産に登録されました。 また、2020年(令和2年)には日本遺産の構成文化財にも認定されています。

建築

構造と特徴

龍憲セラーは前室と主室で構成されています。前室は割石積みで、煉瓦と割石で造られた螺旋階段が特徴です。主室は幅3.7メートル、 奥行き11.0メートル、高さ3.3メートルのアーチ型天井を持つ煉瓦造りで、イギリス積みの技法が用いられています。

通気孔の工夫

天井には8か所の通気孔が設置されており、そのうち中央部の2孔は建設当初からのもので、他の6孔は後に改修されたものと考えられます。 このような工夫により、セラー内の環境が整えられています。

観光情報

アクセスと見学

龍憲セラーは甲州市勝沼町の甲府盆地最東部、標高約380メートルの位置にあります。通常は入口が施錠されており内部の見学はできませんが、 「かつぬまぶどう祭り」や「ワインツーリズム」の際には特別ツアーが開催され、内部を見学することが可能です。

関連施設

煉瓦を用いた建築物は他にも現存しており、宮光園の煙突や旧田中銀行資料館の蔵などがその例です。また、 龍憲セラーは後に「深沢トンネルをワインカーブにする」という発想のきっかけとなり、その独自性と歴史的価値が評価されています。

訪問時の注意

龍憲セラーは歴史的建造物であり、保存状態を保つため厳重に管理されています。訪問時にはルールを守り、歴史的遺産を大切にする心構えが求められます。

まとめ

龍憲セラーは明治時代のワイン醸造技術を現代に伝える貴重な文化財です。その歴史や建築、そして観光地としての魅力を通じて、 日本のワイン文化の発展を感じることができます。山梨を訪れる際には、ぜひこの歴史的なセラーを訪ねてみてはいかがでしょうか。

Information

名称
龍憲セラー
(りゅうけん)

勝沼・石和温泉

山梨県