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甘草屋敷(旧高野家住宅)

(かんぞう やしき)

甘草屋敷は、山梨県甲州市塩山上於曽に位置し、江戸時代後期に建築された貴重な民家です。 国の重要文化財に指定されており、正式名称は「旧高野家住宅」です。 高野家はこの地で代々「伊兵衛」の名を受け継ぎ、江戸幕府に甘草を納めた歴史的な家柄として知られています。

建築と構造

主屋の特徴

主屋は切妻屋根に二段の突き上げ屋根を備えた「甲州民家」と呼ばれる地方特有の建築形式です。 江戸時代後期(19世紀前半)に建てられたこの建物は、3階建ての構造で、上層階は甘草の乾燥に使用されていました。 この設計は、当時盛んであった養蚕業の影響を受けています。

内部構造

主屋内部は南向きに建てられ、東側が土間、西側が床上部という二つの空間に分かれています。 土間には「蔵座敷」があり、かつて馬屋として使用された場所を居室に改造したものです。 床上部には「いどこ」「居間」などの部屋があり、その上層階には採光や通風を目的とした屋根構造が見られます。

甘草の栽培と歴史

高野家は江戸時代初期から甘草の栽培を行い、徳川幕府の命により幕府御用として栽培と管理が行われました。 甘草は薬草として使用され、小石川御薬園への補給源として重要な役割を果たしました。

文化財としての価値

甘草屋敷は1953年に主屋が国の重要文化財に指定され、1996年には付属建物や庭園も含めて追加指定を受けました。 この屋敷は建築物のみならず、庭園や石垣などを含む屋敷全体が保存されており、文化遺産として非常に価値が高いと評価されています。

展示とイベント

ひな飾りと桃の花まつり

毎年2月から4月にかけて「ひな飾りと桃の花まつり」が開催され、雛壇や吊るし雛が展示されます。 この期間中、来場者は伝統的な日本文化の美しさを楽しむことができます。

甲州百目(干し柿)

初冬には「甲州百目」と呼ばれる干し柿が吊るされ、地域の風物詩として注目を集めます。 この風景は訪れる人々に季節の移ろいを感じさせます。

アクセス情報

甘草屋敷はJR中央本線「塩山駅」北口から徒歩1分とアクセスが非常に便利です。 観光に訪れる方にとって、公共交通機関を利用しやすい立地です。

周辺観光スポット

  • 向嶽寺:歴史的な禅宗寺院
  • 菅田天神社:地域の神社
  • 恵林寺:戦国時代の名将武田信玄ゆかりの寺
  • 放光寺:美しい庭園を持つ寺院
  • 塩山温泉:旅の疲れを癒せる温泉地

Information

名称
甘草屋敷(旧高野家住宅)
(かんぞう やしき)

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