釈迦堂遺跡博物館は、山梨県笛吹市一宮町に位置する考古学資料を展示する施設です。笛吹市および甲州市が共同で設立した「釈迦堂遺跡博物館組合」の教育委員会が管理運営を行っています。
釈迦堂遺跡博物館は、1988年(昭和63年)11月3日にオープンしました。この博物館は鉄筋コンクリート造2階建てで、総面積1,449平方メートルです。主に、旧一宮町(現笛吹市)と勝沼町(現甲州市)の境界に広がる釈迦堂遺跡群で発掘された土偶や土器、石器類を展示しています。
京戸川扇状地上に位置し、甲府盆地を一望できる場所にあります。この遺跡群の発掘調査を契機に、出土品を保存・展示するための学習拠点として設立されました。また、中央自動車道の釈迦堂パーキングエリア(上り線)からもアクセスが可能で、パーキングエリア内には「釈迦堂遺跡」の石碑が設置されています。
釈迦堂遺跡の発掘調査は、中央自動車道の建設工事に伴い、1980年2月8日から1981年11月15日にかけて実施されました。総勢2万人が調査に参加し、旧石器時代から平安時代に至る住居跡や墓、土器、土偶、石器などが出土しました。
特に縄文時代の遺構や遺物は学術的にも大変貴重で、多くの注目を集めました。調査期間中は全国から見学者が訪れ、話題を呼びました。
釈迦堂遺跡で発掘された1,116体の土偶は、国の重要文化財に指定されています。これらの土偶は日本全国の7%に相当する数であり、その製作技法や形態が研究において貴重な資料とされています。また、2005年には追加で土器や石器など4,483点が重要文化財に指定されました。
これらの出土品は、釈迦堂遺跡が縄文時代を代表する遺跡であることを示しています。
縄文時代は約16,000年前に始まり、草創期、早期、前期、中期、後期、晩期の6つの時期に分類されます。日本列島は温暖で湿潤な気候となり、縄文人は狩猟や採集、植物の栽培などで生計を立てていました。
釈迦堂遺跡からは、土器や石器などの生活道具が発掘されており、これらから縄文人の生活や技術を垣間見ることができます。
博物館では、釈迦堂遺跡から発掘された土偶全1,116点を展示しています。また、水煙文土器や人体文土器、釣手土器など、縄文時代中期を象徴する土器も展示されており、その芸術性や実用性が紹介されています。
釈迦堂遺跡は甲府盆地の東部、京戸川が形成した扇状地の中央部に位置します。この地域には旧石器時代から平安時代までの多数の遺跡が確認されています。平均傾斜約8度、総面積約4.8平方キロメートルの広大な地形が特徴です。
縄文時代の釈迦堂ムラでは、狩猟採集を中心に季節ごとの自然の恵みを活かした生活が営まれていました。調査では255軒の竪穴式住居跡が確認され、道具や生活痕跡から彼らの知恵や技術の高さが窺えます。
住所: 山梨県笛吹市一宮町
アクセス: 中央自動車道釈迦堂パーキングエリアから徒歩圏内