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旧田中銀行博物館

(きゅう たなか ぎんこう はくぶつかん)

山梨県甲州市に位置する旧田中銀行博物館は、歴史的価値の高い建造物であり、1898年(明治31年)頃に建築されたと推定されています。これは、明治初期に山梨県内で流行した藤村式建築の流れをくむ擬洋風建築の代表例です。

概要

歴史的背景と建築様式

旧田中銀行博物館の建物は、当初「勝沼郵便電信局舎」として建てられました。その後、用途を変えながら、最終的には博物館として公開されています。敷地内には土蔵(レンガ倉庫)や繭倉もあり、これらが1997年に国の登録有形文化財に登録されました。また、2007年には「甲州市のワイン醸造を支えたインフラ施設・建築物」として近代化産業遺産にも認定されています。

所在地と周辺地域

旧田中銀行博物館は甲州市勝沼町勝沼、甲州街道沿いに位置し、勝沼宿として栄えた宿場町の一部を形成しています。この地域は甲府盆地への玄関口として、江戸時代から重要な役割を果たしてきました。

沿革

勝沼郵便電信局舎時代

建物は甲武鉄道(現中央本線)の延伸に伴う電信需要に対応するため、明治期の藤村式建築を手がけた松木輝殷(まつきてるしげ)によって施工されました。外観には漆喰壁や八角柱の装飾が施され、当時の左官技術の高さがうかがえます。

田中銀行時代

郵便局としての役割を終えた建物は1920年に田中銀行の社屋となり、内部は銀行業務に合わせて改修されました。銀行時代の特徴的な内装や備品が多く残されており、今日ではその姿が博物館内で再現されています。

田中家住宅時代

1936年に銀行業務が終了すると、建物は田中家の住居として使用されるようになりました。第二次世界大戦中には北白川宮家の侍従が疎開先として使用しており、その際の遺品が現在も保管されています。

登録有形文化財と博物館化

擬洋風建築の価値が認められ、建物と土蔵は1997年に国の登録有形文化財に登録されました。1998年には所有者から勝沼町に寄贈され、その後修復を経て2005年から一般公開されています。博物館の管理運営は地域住民のボランティア団体「旧田中銀行友の会」によって行われています。

アクセスと開館情報

交通アクセス

・甲州市市民バス「旧田中銀行博物館前」バス停下車
・中央本線「勝沼ぶどう郷駅」よりタクシーで約10分
・中央自動車道「勝沼インターチェンジ」から約2キロ

開館日と時間

・開館日:木曜日から日曜日(4月~10月)、土曜日・日曜日(11月~3月)
・開館時間:9時~16時
・入館料:無料

周辺観光スポット

博物館周辺には以下の観光スポットがあります。
・大善寺
・勝沼氏館
・ぶどうの丘
・大日影トンネル遊歩道・トンネルワインカーヴ(近代化産業遺産の一部)

おわりに

旧田中銀行博物館は、その歴史的・建築的価値だけでなく、地域の文化や産業を知る上でも重要な場所です。訪れることで、明治から昭和にかけての勝沼町の移り変わりを体感することができます。ぜひ一度足を運んでみてはいかがでしょうか。

Information

名称
旧田中銀行博物館
(きゅう たなか ぎんこう はくぶつかん)

勝沼・石和温泉

山梨県