浅間神社は、山梨県笛吹市一宮町一宮にある神社で、甲斐国一宮に位置づけられています。古代から現在までの歴史的背景や、社殿、文化財、年間行事に至るまで、豊かな伝統と文化が息づいています。
全国に点在する浅間神社の中でも特に重要な神社の一つで、「一宮浅間神社」としても知られています。地元では親しみを込めて「一宮さん」と呼ばれています。
祭神は木花開耶姫命(このはなさくやひめのみこと)で、富士山を神格化した神として知られています。この神は、もともと山宮神社に祀られていた3柱のうちの1柱であり、現在地に遷座されました。
浅間神社の創建は、社伝によると垂仁天皇8年に遡ります。当初は現在の摂社である山宮神社に祀られていましたが、貞観7年(865年)に現在地へ遷座されました。これにより、甲斐国一宮としての地位を確立しました。
『日本三代実録』には、貞観6年(864年)の富士山大噴火を受けて浅間神を祀る必要性が記されており、翌年には官社として設置されたとあります。その後、武田氏や江戸幕府の庇護を受け、甲斐国一宮としての地位を守り続けました。
1871年(明治4年)に国幣中社に列格し、戦後には神社本庁の別表神社となりました。1965年(昭和40年)以降は山梨県産ワインを御神酒として奉納する独自の伝統も始まりました。
境内は1ha以上の広さを誇り、江戸時代に建築された拝殿が中心に位置しています。この拝殿は笛吹市の指定文化財に認定されています。
本殿近くには「夫婦梅」と呼ばれる山梨県指定天然記念物があります。この梅は1つの花から2つの実を結ぶ珍種で、多くの参拝者の注目を集めています。
山宮神社は、浅間神社創祀の地とされる重要な摂社です。本殿は永禄元年(1558年)に再建され、国の重要文化財に指定されています。ここでは毎年「山宮神幸祭」が行われ、本社から神輿が渡御します。
祈年祭、御田植祭、七五三祝祭、新嘗祭など、季節ごとの様々な行事が年間を通じて執り行われます。
鉄道: JR東日本中央本線 山梨市駅から徒歩約60分またはタクシーで10分。
高速バス: バスタ新宿から中央高速バスで「一宮」バス停下車後、徒歩10分。
車: 中央自動車道 勝沼ICから約5分。
浅間神社は、甲斐国一宮としての伝統を誇る歴史深い神社です。壮麗な境内や数々の文化財、年間を通じた多彩な行事は、地域の文化的なアイデンティティを象徴しています。山梨県を訪れる際には、ぜひ一度足を運び、その魅力を体感してみてください。