清白寺は、山梨県山梨市にある臨済宗妙心寺派の寺院であり、山号は海涌山(かいゆうざん)、本尊は釈迦如来です。歴史的に由緒あるこの寺は、梅の名所としても知られ、参道の紅白梅や夢窓疎石が植えたとされる「西湖梅」が有名です。また、清白寺は中世の土豪屋敷跡と見られる連方屋敷跡と共に三ケ所遺跡内に位置しています。
清白寺は、正慶2年(1333年)または観応2年(1351年)に、足利尊氏の発願により開基されたと伝わります。開山は夢窓疎石で、二世住職である清渓通徹が、師の夢窓を開山として位置づけたと言われています。『甲斐国志』にも国家安泰と戦勝祈願のための寺院として創立されたと記されており、甲斐国における禅宗寺院の中心的な存在として繁栄しました。
清白寺は、室町時代には鎌倉建長寺の末寺として関東の禅宗寺院の拠点となりました。江戸時代初期に妙心寺の末寺となり、いったん焼失したものの、寛永年間に諸堂が再建されました。天和2年(1682年)に火災が発生し、仏殿以外の堂宇は焼失しましたが、貞享年間から再建が進み、享保16年(1731年)には惣門が完成し、禅宗様式に基づいた寺観が整えられました。
清白寺の伽藍配置は禅宗の形式に則っており、惣門―放生池―三門(鐘楼門)―仏殿―本堂が一直線に並ぶ伝統的な構成です。
清白寺の正門である惣門は、寺院への入口を象徴する建物で、見事な伝統的建築が印象的です。
惣門を通り抜けると、静かな放生池が現れます。この池は、禅寺において生命の尊さを象徴する重要な施設です。
三門は鐘楼を兼ねた門で、清白寺における重要な構造物の一つです。この門を通ることで、参拝者は俗世から切り離され、仏の世界へと誘われるような感覚を得られます。
清白寺には、国宝や重要文化財に指定されている数々の貴重な文化財が保存されています。
仏殿は国宝に指定されており、応永22年(1415年)に建立された建物です。入母屋造、檜皮葺の形式で、禅宗様式の美しさが随所に見られます。甲斐国に残る貴重な禅宗様式建築の一つであり、建築学的にも高い評価を受けています。
庫裏は国の重要文化財に指定されており、江戸時代中期に再建されたと考えられています。元禄2年から6年(1689年~1693年)にかけて再建され、禅宗寺院における庫裏の典型として貴重な存在です。
清白寺は中央本線東山梨駅から徒歩約10分の場所にあり、アクセスが良好です。電車での訪問が便利で、周辺には観光施設も点在しています。
山梨県山梨市東山梨駅周辺に位置しています。訪れる際は、駅から徒歩圏内であり、観光地としても便利な立地です。
清白寺周辺には、他の歴史ある寺院や観光スポットも点在しており、寺院巡りを楽しむことができます。
清白寺は、歴史と自然が調和した臨済宗妙心寺派の寺院です。足利尊氏や夢窓疎石にゆかりのあるこの寺院は、鎌倉から江戸時代を経て数々の歴史的出来事を経ながら、現在に至るまで人々に愛され続けています。禅宗の伝統的な伽藍配置や文化財に指定された建築物、梅の美しい景観など、訪れる人々に深い感動を与えます。歴史を感じながら静寂の中で心を落ち着けたい方には、ぜひおすすめしたい場所です。