山梨県甲州市勝沼町に位置する仏教寺院、大善寺は、 真言宗智山派に属し、山号を柏尾山、本尊を薬師如来としています。 ワインやぶどうに深い関連を持つことから「ぶどう寺」としても知られる、 歴史と文化の宝庫です。
正確な創建年代は不明ですが、寺伝では奈良時代に行基が開創したと伝えられています。 特に、薬師如来像やその造形様式から、平安時代前期に創建されたと推定されています。 また、薬師堂は天禄2年(971年)に三枝守国によって建立されたとされています。
大善寺は甲府盆地東部で勢力を持った古代豪族、三枝氏の氏寺として知られています。 寺の近くには平安時代に遡る「柏尾山経塚」があり、1103年の銘を持つ経筒が出土しました。 これにより、三枝一族がこの地で信仰を深めていたことが明らかです。
寺伝によれば、養老2年(718年)、行基が修行中に夢で葡萄を持つ薬師如来が現れ、 その姿を彫刻して本尊としたのが寺の起源です。この伝承に基づき、 本尊の薬師如来像の左手には葡萄が再現され、現在も参拝者を魅了しています。
大善寺の本堂は国宝に指定されており、鎌倉時代に建立されました。 様式的には和様と大仏様を融合させた「折衷様建築」の代表例で、 山梨県下に現存する最古の建築物として知られています。 本堂の内部には薬師如来像が安置されており、特別な時期にのみ公開されます。
薬師如来像や十二神将像は通常非公開ですが、特定の年や行事の際に特別公開されます。 2018年には開山1300年記念として、巨大な不動明王画像と共に公開されました。
大善寺はJR中央本線「勝沼ぶどう郷駅」から車で約10分の場所にあります。 周辺には駐車場が完備されており、観光バスでの訪問にも便利です。
本堂をはじめとする歴史的な建物だけでなく、四季折々の自然が楽しめます。 特に秋には紅葉が境内を彩り、訪れる人々を魅了します。また、 ワイン醸造を行う「ぶどう寺」として親しまれ、参拝後に特製ワインを味わうこともできます。
大善寺周辺には、甲州ぶどうの産地として知られる勝沼エリアがあります。 ワイナリー巡りやぶどう狩りを楽しむことができ、観光の幅が広がります。
大善寺は歴史、文化、自然、そして美味しいワインを楽しめる魅力的な観光スポットです。 その奥深い歴史や美しい建築、そして「ぶどう寺」というユニークな文化に触れることで、 特別な体験を得られるでしょう。ぜひ一度訪れてみてください。