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大蔵経寺

(だいぞうきょうじ)

大蔵経寺は、山梨県笛吹市石和町松本に位置する真言宗智山派の寺院です。この寺院は、甲斐真言宗七壇林の一つであり、山号は「松本山」、本尊は不動明王です。創建以来、多くの歴史と文化を受け継ぎ、地域の信仰と文化の中心的役割を果たしています。

概要

大蔵経寺は甲府盆地の北縁、石和町北西部に位置し、周辺には古代から信仰の地として知られる神社や遺跡が点在しています。寺院の創建は722年(養老6年)と伝えられ、行基による開創が寺伝に記されています。その後、室町時代に足利義満の庶子と伝えられる観道により再興され、武田信成によって大蔵経が奉納されたことから現在の寺名が付けられました。

歴史

古代の背景

大蔵経寺は、大蔵経寺山南麓に位置し、古墳時代後期の渡来人墓制である積石塚が周辺に点在しています。この地域は古代甲斐国の政治的中心地であり、山梨岡神社や物部神社など、古くから信仰の地として知られています。

創建と再興

大蔵経寺の創建は行基によるものと伝えられていますが、室町時代に観道によって再興されました。応永年間(1394年 - 1428年)には、甲斐国守護である武田信成が大蔵経を奉納したことで「大蔵経寺」と命名されました。

大小切騒動との関わり

境内には、1872年(明治5年)に起きた「大小切騒動」の首謀者である松本村名主、島田富重郎の墓所があります。この騒動は県庁の大小切税法廃止に反対した民衆運動として知られています。

文化財

国指定重要文化財

絹本著色仏涅槃図

この仏涅槃図は、釈迦入滅を描いた室町時代の作品で、大正5年(1916年)に国の重要文化財に指定されました。画僧霊彩による永享7年(1435年)の制作で、中国宋元画の影響を受けています。

山梨県指定有形文化財

絹本着色両頭愛染明王像

この密教絵画は南北朝時代に製作され、愛染明王と不動明王が合体した珍しい姿を描いています。中世における息災調伏の祈願として用いられたと考えられています。

絹本着色不動明王二童子像

室町時代に製作された不動明王と二童子を描いた絵画で、坐像系と立像系の2種類があります。

絹本着色騎獅不動明王八大童子像

獅子に乗った不動明王と八大童子を描いた室町時代の密教絵画で、他に類例の少ない貴重な作品です。

アクセスと周辺情報

大蔵経寺は山梨県笛吹市石和町松本に位置し、車や公共交通機関を利用してアクセス可能です。周辺には温泉地や観光地が点在しており、訪れる人々にとって歴史と自然を満喫できるスポットとなっています。

まとめ

大蔵経寺は、歴史的背景と文化財の豊富さから山梨県の重要な観光地の一つです。真言宗智山派の寺院として、また地域の歴史と文化を伝える貴重な存在として、多くの人々に訪れる価値のある場所となっています。

Information

名称
大蔵経寺
(だいぞうきょうじ)

勝沼・石和温泉

山梨県