乙ヶ妻のシダレザクラは、山梨県山梨市牧丘町室伏乙ヶ妻地区にある巨木のシダレザクラです。毎年春に美しい花を咲かせ、訪れる多くの人々を魅了しています。
このシダレザクラは、甲府盆地の北東端に位置し、標高約680メートルの小高い丘の中腹にあります。樹木からは甲府盆地を眼下に望み、遠くには御坂山地や富士山も眺望することができます。まるで大滝のように垂れ下がる枝は地面すれすれまで伸び、優雅で堂々とした姿が印象的です。
乙ヶ妻のシダレザクラには、国道140号線(通称「雁坂みち」)から山梨県道210号杣口塩山線(クリスタルライン)を経由してアクセスします。さらに、乙女高原方向へ登ると琴川の谷間を挟んだ山腹に見えてくるのがこのシダレザクラです。
乙ヶ妻のシダレザクラは、根回りが4.6メートル、樹高が8.7メートル、枝張りは東西に8.5メートル、南北に8メートルにも達する巨大な樹木です。推定樹齢は約150年から200年とされ、地元では「山の上」と呼ばれる小高い丘の頂上に位置しています。1976年(昭和51年)3月30日、当時の牧丘町によって天然記念物に指定され、現在は山梨市の天然記念物として保護されています。
乙ヶ妻のシダレザクラの開花時期は例年4月上旬から中旬です。春になると、この美しい一本桜の花が満開となり、まるで天然の花園のような光景が広がります。また、近年では開花期に合わせて夜間のライトアップも行われ、幻想的な桜の姿を楽しむことができます。
乙ヶ妻のシダレザクラが立つ高台には、「秋葉さん」や「天神宮」などの祠があり、地元住民はこの場所で花見の宴会を開き、春の訪れを祝います。乙ヶ妻のシダレザクラは地元の人々にとっても親しみ深い存在となっています。
乙ヶ妻(おっかづま)は、山梨市牧丘町室伏に属する地域で、「乙ヶ妻」という地名は古くは『甲斐国志』に「奥勝間(おっかっま)」として記されています。「勝間」とは家の奥隅にある部屋を指し、地形的には琴川上流部の奥地に位置することから「奥勝間」と呼ばれていたと考えられます。
見ごろ:4月上旬から4月中旬
桜の開花時期には多くの観光客が訪れるため、公共交通機関の利用をおすすめします。また、丘の上からの眺望は絶景で、晴れた日には遠く富士山も望むことができます。
近隣には「道の駅 花かげの郷まきおか」があります。道の駅は国道140号線沿いにあり、観光や休憩に便利な場所です。
旧牧丘町地域は、全体の約80%が山地で占められており、笛吹川およびその支流に沿った限られた平地や丘陵地に集落が点在しています。乙ヶ妻のシダレザクラがある高台はその一部で、個人所有地ではありますが、観光目的に広く開放されており、訪れる人々に四季折々の美しい風景を提供しています。
乙ヶ妻のシダレザクラは、山梨県の美しい自然の象徴であり、地域の人々にとっても特別な存在です。四季折々の美しい景色と共に、春のシダレザクラの美しさをぜひご堪能ください。