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瑞岩山 円光院

(えんこういん)

円光院(甲府市)について

円光院は、山梨県甲府市岩窪町にある臨済宗妙心寺派の寺院であり、甲府五山の一つに数えられます。また、甲斐百八霊場の60番札所としても知られ、戦国時代の名将武田信玄の正室であった三条夫人の菩提寺として深い歴史を持ちます。山号は「瑞岩山」、本尊は釈迦如来です。

概要

円光院は、甲斐源氏の始祖である逸見清光(源清光)が開創したと伝わる寺院で、その歴史は古く戦国時代に遡ります。甲府五山の一つとしての格式を持ち、武田信玄が甲府城下町の整備を行った際、寺院もその一環として移転されました。この際、三条夫人の院号に因んで現在の名称に改められました。

円光院の歴史

起源と発展

円光院の前身は、八代郡小石和郷(現在の山梨県笛吹市石和町)に建立された清光寺です。室町時代に甲斐守護武田信守が父・信重の菩提を弔うために再興し、成就院と改められました。その後、武田氏の居館が甲府に移転されると、信玄により現在の場所に移され、甲府五山の一つに位置付けられました。

信玄と三条夫人

永禄年間(1558年 - 1570年)には、武田信玄の正室である三条夫人が亡くなり、円光院がその菩提寺とされました。信玄は、三条夫人の院号「円光院殿」に因み、寺の名称を円光院に改めたと伝わっています。また、三条夫人の墓所である宝篋印塔が境内に建立されました。

境内と歴史的文化財

三条夫人の墓所

三条夫人の墓所は、元亀元年(1570年)に夫人が亡くなった際に造営されました。現在も墓所には宝篋印塔や石灯籠が残されており、甲斐武田氏の歴史を感じることができる場所です。墓所は江戸時代に整備が行われ、明治期にも複数回の修復が施されました。

宝篋印塔の特徴

三条夫人の墓所にある宝篋印塔は、基礎から相輪までの高さが121センチメートルで、太い相輪が特徴です。塔身には「大日」の刻字が彫られており、16世紀の特有の様式が見られます。

文化財としての釈迦如来像と韋駄天像

円光院の本尊である釈迦如来像は、南北朝時代の仏像であり、金泥地に截金や盛上げ彩色が施された優美な文様が特徴です。また、同時期に制作されたと考えられる韋駄天像も所蔵しており、いずれも京都の仏師によって作られたとされています。

刀八毘沙門天像と勝軍地蔵像

2014年には、円光院が所蔵する二体の仏像である刀八毘沙門天像と勝軍地蔵像が修復され、山梨県の文化財に指定されました。これらの像は、武田家との関連性を持ち、甲斐武田氏の歴史を物語る貴重な資料です。

円光院文書

円光院には、戦国時代からの古文書が残されており、「円光院文書」として13点が甲府市指定文化財に指定されています。これらの文書には、寺院の歴史や武田家との関係を示す貴重な情報が含まれています。

文化財指定状況

山梨県指定文化財

円光院の所蔵品や建造物の一部は、山梨県や甲府市の指定文化財に登録されています。

有形文化財(彫刻)

甲府市指定文化財

史跡指定

武田晴信室三条氏の墓は、1967年8月7日に山梨県指定の史跡として登録されています。この史跡は、三条夫人と武田信玄の歴史的な結びつきを示す貴重な場所です。

まとめ

円光院は、山梨県甲府市の歴史と深く結びついた寺院であり、戦国時代に栄えた武田家の歴史を知る上で重要な場所です。三条夫人の墓所を始めとする文化財や寺宝が多数所蔵されており、歴史的価値の高い文化遺産として多くの人々に親しまれています。寺院の静寂な雰囲気の中で、甲斐武田氏と三条夫人の歴史に思いを馳せることができる貴重な観光地です。

Information

名称
瑞岩山 円光院
(えんこういん)

甲府

山梨県