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定林山 能成寺

(のうじょうじ)

能成寺は、山梨県甲府市に位置する臨済宗妙心寺派の寺院で、甲府五山のひとつです。山号は定林山、本尊は釈迦如来であり、地元では多くの人々に親しまれています。甲府盆地の北端に位置し、市街地に近い愛宕山の東麓に佇んでいます。

歴史

『甲斐国志』によれば、能成寺は南北朝時代の貞和年間に、臨済宗の僧・業海本浄(ごうかいほんじょう)を開山、甲斐国の守護・武田信守(能成寺殿)を開祖として、現在の笛吹市八代町に創建されたとされています。業海本浄は晩年に甲斐国の天目山にある棲雲寺を開いた人物であり、臨済宗幻住派の僧として知られています。

戦国時代における能成寺の役割

戦国時代に入ると、甲斐の守護であった武田信玄によって、能成寺は甲府五山のひとつに定められました。これは信玄が臨済宗に帰依していたことから、京都や鎌倉における五山制度を甲府にも取り入れるためであり、甲府城下の西青沼(現在の甲府市宝)に寺院を集めたものです。

甲府城下への移転

その後、武田氏の滅亡を経て、能成寺は文禄年間(1592年 - 1595年)に現在の甲府市東光寺町へ移転されました。以降、江戸時代を通じて甲府市民の信仰を集める重要な寺院として続いてきました。

伽藍の焼失と再建

能成寺は歴史の中で二度の大きな災禍に見舞われています。嘉永4年(1851年)と昭和20年(1945年)の甲府空襲により、伽藍が焼失しましたが、その都度再建されました。現在は本堂、書院、庫裏といった建物が整備され、往時の姿をしのばせています。

寺宝と甲斐百八霊場

能成寺には、信玄公による制札や寺領安堵、禁制など中世から近世にかけての貴重な文書が伝わっており、これらは「能成寺文書」として保存されています。また、能成寺は甲斐百八霊場の第57番札所としても知られており、巡礼者が多く訪れます。

所在地

能成寺の所在地は以下の通りです。

所在地:山梨県甲府市東光寺町2153

甲府五山について

甲府五山(こうふござん)は、戦国時代の甲斐国において、武田信玄が甲府の禅宗寺院に設定した制度で、信玄が京都や鎌倉の五山制度に倣って定めたものです。

概要

武田信玄は臨済宗に深く帰依しており、当時の甲府城下にあった古刹を臨済宗妙心寺派に改宗させ、これらの寺院を甲府五山としました。一般的な五山制度では1位から5位までの順位がつけられることが多いのですが、甲府五山においては明確な順位や格付けの記録が残されていません。

以下に甲府五山の寺院を、甲府市内の東から西の順に紹介します。

甲府五山の構成寺院

甲府五山の地図

以下に甲府五山の各寺院の地理的位置を示します。各寺院の緯度と経度は次の通りです。

Information

名称
定林山 能成寺
(のうじょうじ)

甲府

山梨県