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太刀岡山

(たちおかやま)

標高1,295mの雄大な景観

太刀岡山は、山梨県甲府市草鹿沢町と甲斐市下芦沢に位置し、山梨百名山および甲府名山のひとつに数えられます。標高は1,295mで、奥秩父山地の南(西)部に位置し、西には清川渓谷、南東には御岳昇仙峡が広がっています。

成因と地質

この山は、黒富士火山群に属する溶岩ドームであると考えられており、また溶岩流が長年の浸食によって隔離されたものであるともされています。山体の西側には風化によって形成された「鋏岩(はさみいわ)」があり、これは風化で硬質部分だけが残ったもので、鋏のような形状が特徴です。

展望と登山

太刀岡山の頂上からは、富士山や南アルプスの美しい山々を一望でき、草鹿沢地区から登山道が整備されています。また、南面の岩壁には石祠があり、ロッククライミングの場としても利用されています。

山名の由来

「太刀岡山」という名前の由来には、刀剣が出土することが関係しているとされています。伝説では、日本武尊が東国征討の帰途に太刀をこの地に置いた、または聖徳太子が物部守屋との戦いの千をこの山で振るったと伝えられています。これにより、刀剣と山岳信仰が結びつき、現在の山名が成立したとされています。『甲斐国志』では「建岡山」とも記されています。

昇仙峡 - 荒川上流に広がる美しい渓谷

概要

昇仙峡は、山梨県甲府市の甲府盆地北側、荒川の上流に位置する特別名勝に指定された渓谷で、「日本五大名峡」の一つにも数えられる美しい景勝地です。荒川ダムから仙娥滝まで約5キロメートルにわたる渓谷が広がり、秋の紅葉シーズンには多くの観光客が訪れます。

地質と形成

この渓谷は、荒川が花崗岩を深く侵食してできたもので、柱状節理の花崗岩や輝石安山岩の奇岩が見られます。1923年に国の名勝、1953年に特別名勝に指定され、「御嶽昇仙峡(みたけしょうせんきょう)」として秩父多摩甲斐国立公園の一部を構成しています。

観光スポット

長潭橋

天神森地区から始まる「長潭橋(ながとろばし)」は、昇仙峡観光の起点であり、甲府市街からの景観が美しいスポットです。橋は「選奨土木遺産」にも指定されており、重要な観光資源です。

仙娥滝

昇仙峡のシンボルともいえる「仙娥滝(せんがたき)」は、日本の滝百選にも選ばれた名瀑です。駐車場や展望台が整備されており、渓谷の中心的な観光地となっています。

覚円峰と奇岩群

昇仙峡には高さ約180メートルの「覚円峰」や、自然のアーチ「石門」などの奇岩が点在し、自然が生み出した岩の造形美が見どころとなっています。その他にも天狗岩、筆立岩、ラクダ石など、ユニークな名称を持つ岩石が並び、訪れる人々を魅了します。

神社と寺院

昇仙峡周辺には「金櫻神社(かなざくらじんじゃ)」や「夫婦木神社」、そして「羅漢寺(らかんじ)」などの神社仏閣も点在しています。金櫻神社は特に桜が美しく、春には多くの参拝客が訪れます。

アクセスと観光シーズン

昇仙峡には自家用車で訪れる観光客が多く、11月の紅葉シーズンには周辺道路が混雑するため、公共駐車場の利用が推奨されています。土産物店や観光施設も多く、施設を利用すると無料で駐車場を利用できるところもあります。

歴史的背景と山岳信仰

金峰山信仰と修験道

昇仙峡を含む奥秩父山塊には、甲信国境の金峰山(きんぷさん)があり、古来から山岳信仰が栄えました。甲府方面から昇仙峡を通り、金峰山頂に至る「御嶽道」は、修験道の一つとして登拝者が通る道としても知られています。

戦国時代の歴史

戦国時代、享禄4年(1531年)には、甲斐の守護・武田信虎と甲斐国人衆が昇仙峡を舞台に戦ったとされます。また、天正10年(1582年)の天正壬午の乱では、徳川家康が甲府市周辺に本陣を置き、昇仙峡の付近も戦略上の拠点として利用されました。

観光開発と御岳新道の整備

江戸時代、荒川沿いに整備された「御岳新道」は、参詣道として多くの人々が利用しました。天保年間には、御岳道の整備に地元の村々が協力し、新道開発が進められましたが、途中水害や飢饉による中断もあり、完成まで長い年月がかかりました。これが今日の昇仙峡の観光道路の基盤となり、現在も多くの観光客が訪れる理由の一つです。

Information

名称
太刀岡山
(たちおかやま)

甲府

山梨県