山梨の特産「甲州小梅」が熟す前の青梅を使用するため、5月末には漬け込みを終える。カリカリとした歯応えから「カリカリ漬」とも呼ばれ、さわやかな風味が特徴。梅を一晩水に漬けてアク抜きをした後、梅と塩を交互に漬け込む。漬け込みの際、消石灰を加えるといつまでもカリカリに仕上がるといわれている。らっきょうがみょうが、生姜などと一緒に漬け込んでもおいしい。千切りにした柚子の皮を、干した大根のスライスで巻きさらに干した「大根の柚子巻き」を加えて漬ける場合もある。
「甲州小梅漬」は山梨県の特産である甲州小梅を、まだ青い時期に収穫して、5月末には漬け込みが終わるようにする。特に甲府盆地では特有の寒暖差のある気候が小梅の生育に適しており、種が小さく果肉に厚みが出るので小粒だが食べごたえがある。養蚕の衰退とともに梅の栽培が盛んになった。近年は、宅地化・道路化・高齢化等により生産量は減っているが、現在でも小梅の生産は日本一を誇っているという。江戸時代後期には県の特産品としての記録が残っているほどである。食感や塩分など納得いくものをと試行錯誤してつくられた「甲州小梅漬」は、カリカリと良い歯ごたえから「カリカリ漬」ともいわれ、県内の梅の加工品の中では圧倒的に人気である。従来の梅干しのように天日干しはしないため、「どぶ漬け」といって梅酢に漬けたまま保存するのが特徴である。
主な伝承地域:中北地域、峡東地域、峡南地域
主な使用食材:甲州小梅、赤しそ、塩、米酢