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甲府城(舞鶴城)

(こうふじょう まいづるじょう)

甲府城は、山梨県甲府市にあった日本の城で、雅号「舞鶴城」としても知られています。甲府盆地北部、現在の甲府市中心街の一条小山に築城され、中世から近世にかけての平山城としての役割を担いました。その跡地は現在も残され、国の史跡に指定されています。

築城の背景とその目的

甲府城は、甲斐国の政治的中心地として、戦国期の武田氏の勢力を引き継いだ徳川家康や豊臣系大名の支配の要所となりました。徳川家康を牽制するために豊臣政権の下で築城が開始され、江戸時代には将軍家に最も近い親藩(甲府藩)の城としての機能を果たしました。

築城地の選定とその意義

甲府城が築かれた一条小山は、平安時代後期に甲斐源氏一族の領地であり、甲斐一条氏が支配していました。武田氏が滅亡した後、甲府は武田氏の旧領として重要な拠点となり、徳川家康や豊臣系大名によって新たに甲府城下町が整備されました。

甲府城の築城とその過程

築城の開始と築城主

甲府城の築城は、徳川家康が1583年(天正11年)に家臣の平岩親吉に命じて行ったとされています。家康は甲府・躑躅ヶ崎館を支配拠点としていましたが、城の本格的な築城が豊臣政権の下で進行したと考えられています。天守台は現存するものの、実際に天守が建てられたかどうかは不明です。

石垣の技術と築城における工夫

甲府城の石垣には「穴太積(あのうづみ)」と呼ばれる西国系の技術が採用されています。この技法は織田信長が安土城で初めて使用し、豊臣秀吉に引き継がれました。甲府城の石垣には、この技術が統一的に用いられていることから、豊臣大名時代に築かれたことが示唆されています。

江戸時代の甲府城とその役割

親藩と幕府直轄領としての変遷

江戸時代初期には幕府直轄領として管理されましたが、後に甲府藩が設置され、享保年間には再び直轄領とされて甲府勤番が配置されました。これにより、甲府城は地域の統治拠点として重要な役割を果たしました。

宝永元年の徳川綱豊による管理

1704年(宝永元年)には、甲府藩主であった徳川綱豊が将軍綱吉の後継者となり、甲府城の管理も大きく変化しました。この時期には甲府城の再整備が進められ、武士団の指導拠点としても機能しました。

甲府城の近代化とその変遷

明治時代の廃城とその影響

1873年(明治6年)に廃城処分が行われた甲府城ですが、その後も甲府は山梨県の政治・経済の中心地として機能しました。城の建物は取り壊され、内堀は埋め立てられて官業施設が設置されるなど、城跡は近代化に伴う変遷をたどりました。

中央線開通による城跡の分断

甲府城跡には、明治時代に中央線(現JR東日本中央本線)が開通し、甲府駅が建設されると、城跡は鉄道によって分断されました。しかし、その後の発掘調査や史跡整備により、現在でも甲府城の一部が観光地として保存されています。

現在の甲府城跡と観光地としての役割

残る遺構と観光スポット

現在、甲府城跡には本丸、天守台、稲荷曲輪、鍛冶曲輪の石垣や一部の堀が残されています。これらの遺構は武田氏居館とともに、甲府市内の観光スポットとして多くの観光客を引きつけています。また、城跡からは甲府市街や甲斐の山々を一望できる景観が楽しめます。

出土遺物の文化財指定

甲府城跡から出土した金箔の鯱瓦や飾瓦は、山梨県指定文化財として保護されています。これらの遺物は、甲府城の歴史と城主たちの文化的背景を伝える重要な資料となっています。

甲府城の築城に関わる人物とエピソード

徳川家康と豊臣秀吉の影響

甲府城の築城において、徳川家康と豊臣秀吉の影響が大きかったとされています。家康が甲府城を築城する意図は政治的な要所としての役割を果たすためであり、後には豊臣大名による本格的な築城が進められました。この背景には、戦国時代から江戸時代にかけての甲府の政治的な重要性がありました。

加藤光泰と浅野長政の築城の貢献

甲府城の築城には、豊臣大名であった加藤光泰や浅野長政の協力が欠かせませんでした。光泰は甲府城の本丸や天守曲輪など中心部を完成させ、浅野氏も築城を継続させました。これらの人物たちの努力により、甲府城は甲斐国の重要な拠点として発展しました。

甲府城の魅力と観光の楽しみ方

城跡からの景観

甲府城跡からは甲府市街や遠くの山々を望む美しい景色が楽しめます。春には桜が咲き誇り、多くの人が訪れる桜の名所としても知られています。また、秋には紅葉が美しく、四季折々の自然が堪能できる点も甲府城の魅力の一つです。

城跡公園としての整備

甲府城跡は現在、舞鶴城公園として整備されています。公園内には散策路が設けられており、観光客がゆっくりと歴史を感じながら歩けるようになっています。さらに、案内板や展示物も充実しており、甲府城の歴史や築城技術について学ぶことができます。

歴史好きへのおすすめスポット

甲府城跡は、歴史愛好者には特に訪れてほしい場所です。城の石垣や遺構は、戦国時代から江戸時代にかけての築城技術を物語る重要な遺産であり、歴史の重みを感じることができます。発掘調査によって発見された遺物も展示されており、武田氏や徳川氏の時代の息吹を感じられるでしょう。

まとめ

甲府城は、甲斐国の政治的拠点として戦国から江戸時代に至るまで重要な役割を果たしました。その歴史的な背景や建築技術の高さがうかがえる城跡は、現在でも多くの観光客を魅了しています。甲府城跡を訪れ、その壮大な歴史を感じながら、日本の城文化に触れてみてはいかがでしょうか。

Information

名称
甲府城(舞鶴城)
(こうふじょう まいづるじょう)

甲府

山梨県