低カロリーで高タンパクな”馬肉”は、鉄分、ミネラル等も多く含む栄養価の高い食品。さらに低コレステロール、低アレルギーなので、女性はもちろん万人におすすめしたい食肉だ。全国的には、熊本県の馬肉を食す習慣が有名だが、山梨県や東北各地でも、良質の馬肉が生産されており、食す習慣が根付いている。馬肉の代表的な料理といえば”馬刺し”。おろししょうが、おろしにんにく、ねぎを始め、七味とわさびの組み合わせなど、好みの薬味をのせて、しょうゆをつけて食べると、肉とは思えないさっぱりとした味わいが楽しめる。
山梨は甲斐国と呼ばれていた律令制の時代から貢馬の国として知られ、「甲斐の黒駒」は貴族たちの憧れのブランドであった。また、かつて富士山の信仰登山が盛んで、登山者の荷揚げ用に馬がたくさん飼われていた。馬が身近にあったことから、安く手に入る馬肉の料理が盛んになったといわれている。「馬刺し」は、生の馬肉を薬味と醤油につけるというシンプルな食べ方ではあるが、良質な馬肉のとろりとした食感と、甘みのある軽い脂が存分に味わえる馬肉の代表的料理である。「やまなしの食」や「農山漁村の郷土料理百選」に選定されている「吉田うどん」には甘辛く煮た馬肉がのせられる。また馬肉は美味しいだけでなく鉄分やミネラル、ビタミンなど栄養価が高いことで知られる。高たんぱく質、低カロリーで、低アレルギー食品としても評価が高い。また、馬肉は「桜肉」とも呼ばれるが、由来は諸説ある。馬肉自体が綺麗な桜色をしているからという説、寒い時期にたくさん食べて肥え、越冬した春の馬刺しは絶品であるからという説、江戸時代は獣肉を堂々と食べることができず、隠語として馬肉を「桜」と呼んだという説、坂本龍馬が「咲いた桜になぜ駒(馬)つなぐ、駒が勇めば花が散る」と歌ったフレーズが元になった説などある。それほど地域によって人々の食に根付いていた食材であるといえる。
主な伝承地域:県内全域
主な使用食材:馬肉、薬味など