清泉寮は、山梨県北杜市高根町清里にある宿泊研修施設で、キープ協会が運営しています。標高1,380メートルに位置し、濃厚なソフトクリームが名物として知られています。ここは、日本とアメリカの交流による教育実験計画「KEEP(Kiyosato Educational Experiment Project)」の一環として1938年に設立され、以来多くの人々を惹きつける場となってきました。
清泉寮はロッジ、コテージ、レストラン、キャンプ場などを備えた多様な施設を提供する宿泊・研修施設です。当初はポール・ラッシュ博士が主導した日米協会の青年活動の拠点として、キリスト教の研修施設として設立されました。
1938年(昭和13年)、清里の地で清泉寮は誕生しました。アメリカ人宣教師のポール・ラッシュ博士が関東大震災後の日本に根を下ろし、立教大学で教鞭をとりながら地域開発と教育支援に取り組んだ結果、八ヶ岳の自然環境を活かしたキリスト教研修施設の構想が実現したのです。
「清泉寮」という名称は、1937年に立教大学の高松孝治教授司祭によって名付けられました。清里と大泉村の地名を組み合わせて命名され、地域の象徴として愛されています。
ポール・ラッシュは1936年から山梨県庁と協議を重ね、八ヶ岳南麓に広がる清里高原での開発に着手しました。清泉寮は当初、日本聖徒アンデレ同胞会の指導者訓練の拠点として活用され、青少年キャンプが開催される重要な場として知られるようになりました。
第二次世界大戦の終了後、ポール・ラッシュは再び日本に戻り、1948年にキープ協会を設立しました。戦後の荒廃した日本において、清泉寮は農村コミュニティー再建の拠点となり、農業や酪農による地域振興に大きく寄与しました。
1950年代以降、清里高原は観光地として発展を遂げ、清泉寮も観光・研修施設として注目されるようになりました。登山道の整備やスキー場の開設など、観光インフラの整備が進み、清泉寮も観光客や研修生を広く受け入れる施設へと成長していきました。
清泉寮は、青少年訓練キャンプの拠点として大きな役割を果たしてきました。八ヶ岳の大自然を背景に、若者たちがリーダーシップを養うプログラムが提供され、キリスト教の教えを基盤にした人間形成が行われています。
清里高原の土壌は酸性で農業には不向きとされていましたが、ポール・ラッシュの尽力により、酪農が導入されました。この取り組みは地域の生計手段として確立され、清泉寮は地域経済を支える重要な存在となりました。
1978年に清里に初めてペンションが建設されると、その後清里高原は観光ブームを迎えました。清泉寮も観光客に向けた宿泊やレクリエーションの場として、多くの人に利用されています。2006年には「恋人の聖地」として選定され、清里高原の観光拠点としても広く知られています。
清泉寮の建物には、創設者のポール・ラッシュが信仰した「日本聖徒アンデレ同胞会」のシンボルである聖アンデレ十字が掲げられています。これは「X」字の形状で、聖アンデレがX字型の十字架で殉教したことに由来します。
清泉寮のソフトクリームは、1976年にメニューとして登場して以来、観光客の間で人気を集めています。この濃厚なソフトクリームはジャージー牛乳を使用しており、八ヶ岳の自然を味わえる逸品として愛されています。
JR小海線の清里駅から清泉寮まで2kmの距離に位置し、車で約5分で到着します。無料送迎バスがあり、夏季にはピクニックバスが運行されています。
中央自動車道の須玉ICまたは小淵沢ICからアクセス可能です。国道141号や県道28号、県道11号を経由し、清里高原へと向かいます。
清泉寮は、その豊かな歴史と自然環境の中で、多くの人々に影響を与え続けています。観光や研修、青少年育成の場として訪れる人々に感動を与え、山梨県北杜市の象徴的な施設となっています。