美森の大ヤマツツジは、山梨県北杜市の清里高原にある、特別な歴史と魅力を持つ巨木です。ヤマツツジ(学名:Rhododendron kaempferi)の一種で、この木は大きさと希少性から国の天然記念物に指定されています。
清里高原の美森(標高1542メートル)は、八ヶ岳主峰の赤岳東麓に広がり、展望台としても人気のあるスポットです。この美森の南側、カラマツの深い樹林帯に、歴史ある大ヤマツツジが立っています。周辺にはレンゲツツジやサラサドウダン、トウゴクミツバツツジなど、多くのツツジが自生しており、四季折々の美しい景色が楽しめます。
昭和5年(1930年)に行われた調査では、美森には3本の巨木があることが確認されました。そのうちの1本である大ヤマツツジは特に大きく、昭和10年(1935年)6月7日に国の天然記念物に指定されました。樹高は約2.5メートル、根回りが2.7メートル、枝回りが24メートルにも及ぶ巨大なもので、日本国内でも例のない規模を誇ります。
美森の大ヤマツツジは、長年の老衰により樹勢が衰え、さらに1996年(平成8年)の異常低温の影響で株の大半が枯死してしまいました。しかし、現在でも一部の枝が生き残り、かつての壮大な姿を想像させる姿を保っています。老木特有の趣と、美森の自然豊かな環境が一体となり、訪れる人々に感動を与えています。
大ヤマツツジの開花時期は毎年6月中旬から下旬にかけてです。この時期、周囲には多くのヤマツツジが一斉に花を咲かせ、清里高原一帯は鮮やかな紅色に彩られます。また、5月からは新緑が美しく、さわやかな風景が広がるため、ツツジの開花に合わせて多くの観光客が訪れます。
指定された大ヤマツツジのそばには、指定木ではないものの、大きなヤマツツジの個体も存在します。これらの巨木の近くには、天然記念物に指定された昭和10年当時に設置された石柱が立っており、歴史的な背景を感じさせるポイントです。美しい巨木と古い石柱が融合し、歴史と自然が一体となった風景が楽しめます。
八ヶ岳の中腹に位置する美森周辺(標高約1,450メートル)は、レンゲツツジやドウダンツツジ、サラサドウダンツツジなど、さまざまなツツジ類の自生地として知られています。ツツジ類は日当たりが良く、風通しの良い栄養分が少ない酸性土壌を好み、八ヶ岳高原の環境に適応しやすいため、この地で豊かに成長しています。これにより、美森はツツジの名所として多くの人々に親しまれています。
美森の展望台からは、八ヶ岳連峰をはじめとする雄大な景色を一望できるため、多くの観光客が訪れます。特に、6月中旬から下旬にかけて、ツツジの花が満開になる時期には、真紅の花が山全体を彩り、幻想的な風景が広がります。観光客にとっても絶好の写真スポットです。
美森の大ヤマツツジへは以下の方法でアクセスが可能です。交通手段を確認し、ぜひ訪れてみてください。
山梨県北杜市大泉町西井出字石堂殿上
JR東日本小海線清里駅から: 徒歩約60分
県営美森駐車場から: 徒歩約10分
美森の大ヤマツツジは、山梨県北杜市の清里高原にある日本を代表する巨木の1つで、国の天然記念物として指定されています。長い年月を経てきたこの大ヤマツツジは、老木ながらもその美しさを保っており、訪れる人々に癒しと感動を提供しています。美森一帯の自然環境とあわせて、ぜひ訪れてその魅力を体感してください。