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神代桜

(じんだいざくら)

神代桜は、山梨県北杜市武川町山高の実相寺境内にあるエドヒガンザクラの老木で、樹齢1800年から2000年といわれる歴史ある桜です。日本の五大桜や三大巨桜の1つとして知られ、国の天然記念物に指定されるなど高い評価を受けています。

神代桜の歴史

伝説と天然記念物指定

神代桜には、伝説的な由来があります。日本武尊が東征の際にこの桜を植えたとされており、また、鎌倉時代には日蓮がこの桜の樹勢回復を祈願したといわれています。1922年(大正11年)10月12日には国の天然記念物に指定され、その後、1990年(平成2年)には「新日本名木百選」にも選定されました。

樹勢の衰えと復興への取り組み

かつて神代桜は高さ13.6メートル、枝張りが東西27.0メートル、南北30.6メートルと大きな樹勢を誇っていました。しかし、20世紀に入ると徐々に衰退が進み、1948年には「あと3年で枯れる」と言われるほどの状態にまで落ち込みました。1959年の台風やその後の気候変動の影響もあり、大きな枝が次々と失われるなど、ますます小さくなっていきました。

2002年からの樹勢回復プロジェクト

2002年(平成14年)には、日本花の会が中心となり、神代桜の樹勢回復プロジェクトが開始されました。石積みの囲いや盛り土が樹勢悪化の原因と判明し、それらを除去して改良土を用いて土壌の改善が行われました。その結果、2004年には早くも新しい枝が急速に伸び始め、葉の枚数も増えるなど、樹勢が回復し、2006年には保護屋根が撤去されるまでに至りました。

「宇宙神代桜」としての新たな挑戦

2008年から2009年にかけて、神代桜を含む14種の植物の種が国際宇宙ステーションの日本実験棟「きぼう」に滞在しました。無重力が種に与える影響を調べるための実験で、約120粒の種のうち発芽に成功したのはわずか2粒でした。そのうちの1本は「宇宙桜」として実相寺で公開され、2010年に発芽し、2012年春には初めての開花を迎えました。

復興シンボル「きぼうの桜」としての貢献

2017年以降、宇宙桜から採取した実を福島県や宮城県などの被災地に贈り、「きぼうの桜」として復興のシンボルとして植樹されました。これは、地域再生の象徴として多くの人々に希望を届けるものとなっています。

神代桜と三大巨桜の苗木

実相寺の境内には、神代桜に加え、日本の三大巨桜である「三春滝桜」(福島県三春町)と「淡墨桜」(岐阜県本巣市)からそれぞれの苗木が贈られ、植樹されています。これにより、訪れる人々はこれらの歴史ある桜を一度に見学することができ、春の花見シーズンには大勢の観光客で賑わいます。

交通アクセス

所在地

住所: 山梨県北杜市武川町山高2763(実相寺境内)

アクセス方法

車: 中央高速道路の須玉インターチェンジから8km。

公共交通: JR中央本線「日野春駅」からタクシーを利用するか、北杜市民バスに乗り「武川巡回線神代公園バス停」で下車。

まとめ

神代桜は、古来より伝説とともに多くの人々に愛されてきた老木であり、近年では「宇宙桜」としての新たな歴史も加わりました。復興のシンボルとしての役割も担うなど、日本の自然遺産としての価値を高めています。実相寺を訪れる際には、この歴史ある桜をじっくりと鑑賞し、その背景にある多くの物語に思いを馳せてみてください。

Information

名称
神代桜
(じんだいざくら)

清里・小淵沢

山梨県