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三恵の大ケヤキ

(みつえ おおケヤキ)

山梨県南アルプス市寺部に位置する「三恵の大ケヤキ」は、推定樹齢1000年以上の巨木で、国の天然記念物に指定されています。その壮大な姿から、地元では長年にわたって崇敬され、現在も多くの観光客が訪れる名所となっています。

立地と周囲の環境

三恵の大ケヤキは、甲府盆地の西部に広がる釜無川の右岸、御勅使川扇状地の東南端、標高約275メートルの地点に位置しています。周囲は住宅地や果樹園に囲まれており、現在は南アルプス市の住宅街の一角に佇んでいます。かつてこの地域は「三恵村」と呼ばれていたことから、三恵の名がつけられました。

歴史的な記録

このケヤキは古くから知られており、江戸時代後期に編纂された地誌『甲斐国志』にもその記録が見られます。さらに、1926年(大正15年)に山梨県教育委員会の史蹟名勝天然記念物調査報告書第2輯において、「五つの枝を出し…畑の中に独立した樹であるが、遠くから眺めると林のように繁茂し…」と記載され、その姿は小山のように見えるとされていました。

三恵の大ケヤキの天然記念物指定

1928年(昭和3年)11月30日、「三恵の大欅」の名称で国の天然記念物に指定されました。その後、1957年(昭和32年)7月31日に名称が「三恵の大ケヤキ」に変更され、「欅」の表記がカタカナの「ケヤキ」に統一されました。

老木としての特徴と現在の姿

長い歴史を持つこのケヤキは、幹に空洞が生じるなど老木特有の現象が見られるようになりました。1959年(昭和34年)8月には台風の被害を受け、さらに落雷による火災にも見舞われるなどの自然災害に耐え抜きました。その影響で現在では主幹が中央で裂けて2本に分かれて見えますが、根元を見れば1本の大木であることが確認できます。

巨木の詳細なデータ

1974年(昭和49年)に測定されたデータによれば、三恵の大ケヤキは次のような特徴を持っています。

四方に大きく広がるその枝ぶりは、訪れる人々に圧倒的な迫力を与えます。

保存活動と三恵の大ケヤキ保存会

1996年(平成8年)には、地元の有志により「三恵の大ケヤキ保存会」が発足しました。保存会では、土壌の改良、腐朽の防止、そして支柱の設置など、樹勢の維持に向けた様々な取り組みを行っています。その努力により、2011年7月時点での樹勢は非常に旺盛で、今なお力強い姿を保っています。

令和元年東日本台風による被害

2019年、令和元年東日本台風(台風19号)の影響で、三恵の大ケヤキのうち一本の枝が折れてしまうという被害が発生しました。しかし、地元住民や保存会による継続的な保護活動により、引き続きこの巨木は守られています。

訪問の際の注意事項

三恵の大ケヤキは住宅地内に位置しているため、訪問時には静かにすることや、地元の方々の生活の妨げにならないよう配慮が必要です。観光客には、大ケヤキの周りに設置された看板や説明書きを読み、その歴史的価値や保護活動について理解を深めてもらえると良いでしょう。

周辺観光スポットと合わせた訪問

南アルプス市や甲府市周辺には他にも多くの観光スポットがあり、三恵の大ケヤキを訪れた際には、周辺の歴史的な場所や美しい自然を巡ることもおすすめです。以下に、いくつかの周辺観光スポットをご紹介します。

東根の大ケヤキ

三恵の大ケヤキと同様、国の特別天然記念物に指定されている「東根の大ケヤキ」は、山形県東根市に位置する巨大なケヤキで、樹齢1500年とされる貴重な木です。こちらも合わせて訪れると、古木の迫力と歴史を堪能できます。

精進の大スギ

山梨県富士河口湖町に位置する「精進の大スギ」は、富士五湖の一つである精進湖の近くに佇むスギの巨木で、樹齢1200年とされ、国の天然記念物に指定されています。三恵の大ケヤキと併せて自然の偉大さに触れる旅を楽しむことができます。

上野原の大ケヤキ

山梨県上野原市にある「上野原の大ケヤキ」も見どころの一つです。こちらのケヤキは山梨県指定天然記念物に指定されており、その堂々たる姿と歴史の深さから、多くの観光客に人気があります。

まとめ

三恵の大ケヤキは、山梨県南アルプス市の誇る歴史的な巨木であり、地域の人々に大切に守られています。その圧倒的な存在感と長い歴史は、多くの人に感動を与えるでしょう。ぜひ一度足を運び、この大自然の奇跡を体感してみてください。

Information

名称
三恵の大ケヤキ
(みつえ おおケヤキ)

南アルプス・身延

山梨県