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安藤家住宅

(あんどうけ じゅうたく)

安藤家住宅は、山梨県南アルプス市西南湖にある江戸時代の古民家で、国の重要文化財に指定されています。約300年の歴史を持つこの建物は、江戸時代から一度も火災に遭うことなく、良好な状態で保存されています。

所在地とアクセス

安藤家住宅は南アルプス市西南湖に位置し、甲府盆地の西南部に広がる村落に建っています。駿州往還沿いの宿場町であったこの地域は、甲斐国から駿河国に至る交通の要所として栄えていました。

文化財指定と保存管理

安藤家住宅は、1976年(昭和51年)5月20日に国の重要文化財に指定されました。1982年から1986年にかけて大規模な解体復元修理が行われ、現在は山梨県が所有し、南アルプス市が管理しています。主屋や表門、南蔵、北蔵、文庫蔵と庭園を含む敷地全体が文化財として保護されています。

建築構造と建造物の特徴

主屋

建築年代: 宝永5年(1708年)
構造: 入母屋造、茅葺
寸法: 桁行22.7メートル、梁間9.1メートル

安藤家住宅の敷地面積は約4400平方メートルで、主屋は「入母屋造り」という形式の茅葺屋根が特徴です。式台付きの玄関や奥座敷、囲炉裏など、当時の生活文化を伝える重要な要素が多く含まれています。

表門

建築年代: 天明2年(1782年)
構造: 切妻造、茅葺
寸法: 桁行14.7メートル、梁間3.6メートル

表門は安藤家の主屋に続く門で、左右に住居部分を持つ長屋門の構造を持ちます。この部分には、かつてこの家で働いていた人々が住んでいました。

南蔵

建築年代: 元治元年(1864年)
構造: 土蔵造、切妻造、桟瓦葺
寸法: 桁行9.1メートル、梁間7.1メートル

北蔵

建築年代: 安永2年(1773年)
構造: 土蔵造、切妻造、桟瓦葺
寸法: 桁行10.9メートル、梁間5.5メートル

文庫蔵

建築年代: 弘化2年(1845年)
構造: 土蔵造、切妻造、桟瓦葺
寸法: 桁行5.6メートル、梁間3.6メートル

安藤家住宅の部屋とその役割

囲炉裏

囲炉裏は家族が集う中心的な場所で、食事の準備や暖房として使用されました。また、囲炉裏の煙はカヤ葺きの屋根や柱の防腐効果を高め、建物の長寿命化に貢献しています。

奥座敷

奥座敷は家の主人が特別な客をもてなすための正式な場所です。式台付き玄関から直接通じるこの部屋は、広い日本庭園を望むことができ、安藤家住宅内で最も上等な部屋です。

茶室

建築年代: 万延2年(1861年)

茶室はお客様をもてなすための場所で、床柱には榎木が使用されています。茶室の装飾には「竹の子面」という技法が用いられ、年輪の数が多いほど価値が高いとされました。

避雷針の松とその歴史

市指定文化財

安藤家住宅の敷地内には、樹齢350年を越える黒松があり、明治期に設置された避雷針が取り付けられています。この木は「避雷針の松」と呼ばれ、地域の歴史を今に伝える貴重な存在です。

アクセス方法

自動車でのアクセス

高速道路利用

中部横断自動車道南アルプスICを下車し、国道52号線を静岡方面へ進みます。甲西中学校東交差点で左折し、南湖橋東詰交差点を右折して約150メートル進むと駐車場に到着します。

一般道利用

主要地方道甲府南アルプス線の開国橋を渡り、開国橋西交差点を左折。東南湖交差点を右折して約1.3km直進後、南湖橋東詰交差点を左折し、約150メートル進むと駐車場があります。

公共交通機関でのアクセス

JR中央線 甲府駅から

山梨交通バス1番線より、十五所経由の鰍沢営業所行またはフォレストモール富士川行きに乗車し、古市場バス停下車後、徒歩約30分。または、南湖経由鰍沢営業所行にて一軒茶屋バス停で下車し、徒歩約25分。

JR中央線 竜王駅または身延線 東花輪駅から

南アルプス市コミュニティバス6号車で安藤家住宅北バス停下車後、徒歩5分。なお、バスの本数が限られているため、事前に時刻表の確認をおすすめします。

利用情報

所在地: 山梨県南アルプス市西南湖4302
開館時間: 9:00〜16:30(入館は16時まで)
休館日: 毎週火曜日(火曜日が祝日の場合は翌日休館)、その他祝日の翌日、年末年始(12月27日~1月7日)

Information

名称
安藤家住宅
(あんどうけ じゅうたく)

南アルプス・身延

山梨県